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July 13, 2024
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アマゾンの金融サービスを支えるJPモルガンチェイス銀行のBaaS
日本では、セブン銀行やイオン銀行、昨今ではauじぶん銀行やJAL NEO Bankなど金融業以外の企業が銀行サービスを手掛けるケースが増えています。米国でも「BANK」と名乗ることはできないものの、金融機関のBaaS/エンベデッド・サービスを利用して実質的な金融サービスを提供する事例が登場しています。ここでは、Amazon.comがJPMorgan Chase銀行と連携して提供する金融サービスを取り上げてみました。 ■ アマゾンが提供する金融サービス米国では数年前まで、GAFAをはじめとする大手テクノロジー企業等が金融事業に参入するとの憶測があったが、流通事業者の銀行ライセンス取得が非常に難しいこともあり、日本のような流れにはなっていない。 ただアマゾン・ドットコムでは、消費者向けには「Amazon Visa Card/Amazon Prime Visa Card」を、マーケットプレースに出店する小売事業者にはペイメント・サービス「Amazon Seller Wallet」を提供しており、実質的に限定的な金融サービスを提供しているとも言える。前者はJPモルガン・チェイス銀行とのコブランド・カードであり、後者も同銀行のエンベデッド・ペイメント・サービス(BaaS)を利用している。 ■ AmazonブランドのクレジットカードAmazon.comが提供するクレジットカードは、アマゾン・ドットコムの商品や傘下のスーパーマーケット:Whole Foodsでの買い物に5%のキャッシュバックが付与される(プライムメンバーでない場合は3%)。更にガソリンスタンドとレストランでの利用には2%、その他すべてのカード利用に1%のキャッシュバックがつく。もちろんカード年会費は無料だ。 発行枚数は未公表だが、米国のプライム・メンバー1億6000万人のうち15%(2000万人程度)がアマゾン・プライム・ビサ・カードを保有していると推計されている。一方、JPモルガン・チェイス銀行のクレジット・カード発行総数は1億5000万枚なので、アマゾン・カードはその15%とも言える。 ■ Amazon Seller...
Susumu Suzuki
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July 7, 2024
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米国のゴールベース投資動向
日本では「貯蓄から投資へ」の流れの中、リテール証券業界においては、その事業モデルを「投資商品の推奨と販売」から「受託者責任に基づく投資アドバイス」へと変化させるべく、営業体制や商品ラインナップ、課金モデルの整備などが進んでいます。一方、2000年以降「受託者責任に基づく投資アドバイス」が定着してきた米国では、フィナンシャル・アドバイザーが提供する「投資アドバイス」の内容が、「ポートフォリオ運用」から「個々人の人生設計に合わせたゴールベース投資」へと進化しています。ここでは米国の「ゴールベース投資」の現状と今後をまとめたレポート「The Future of Goals-Based Investing」を概説してみました。 ■ ゴールベース投資の登場米国のリテール証券業界では、1990年頃からその事業モデルが「投資商品の推奨と販売(コミッションベース・モデル)」から「受託者責任に基づく投資アドバイス(フィーベース・モデル)」へと変わってきた。この背景には、顧客の利益を最優先すべきだとするレギュレーションが強化されてきたことがあり、この流れは2000年以降本格化した。 当初、フィナンシャル・アドバイザー(FA)が提供する「投資アドバイス」の中身は、顧客のリスク許容度に基づいて適切なポートフォリオ運用を行う分散投資であった。ところが2001年のハイテクバブル崩壊や2008年のリーマンショック等を経て、パッシブ投資のメリットや適切なポートフォリオ管理を行っても主要株式指標以上のパフォーマンスは難しいことが広く認識されるようになり、FAが提供するアドバイスの内容も、次第に「投資成果の実現」から「個々人の人生目標具現化のための投資(ゴールベース)アドバイス」へと変化している。 ■ ゴールベース・アドバイスの実践状況(アンケート調査の結果)Datos Insightでは、2024年第二四半期に米国のFA436人を対象としたアンケート調査を実施した。それによると、FA379人(87%)が「顧客のゴールに戻づいてポートフォリオを構築/管理するサービス」を提供しており、うち166人(38%)からは、自身が担当する顧客の半数以上にゴールベース・アドバイスを提供しているとの回答を得た。 また、FAのほぼ全員が、ゴールベース・アドバイスの概念を理解していることも分かった。FAは、まず顧客との会話から「顧客のフィナンシャル・プランニング」を行い、それを「ゴールベース投資」に落とし込むという手順を把握している。ただ、その「ゴールベース投資」の中身は、各ゴール毎のポートフォリオ構築/管理に主眼を置くものから、個人/家族の人生全般に渡る毎年のキャッシュフロー実現に注力するもの(=必要に応じてポートフォリオのダイナミックな見直しが必要となることもある)まで様々であることも分かった。 ■ ゴールベース・アドバイスの今後今後は、FAが提供する投資アドバイスの中身がこれまで以上に「ゴールベース投資」中心となることは間違いないだろう。前述の調査でもFAの78%が「フィナンシャル・プランニングが重要」「フィナンシャル・プランニングも投資管理も双方が重要」と回答している。ただ、長期に渡る適切なキャッシュフローの実現方策をアドバイスするためには、FAの更なるトレーニングが必要となり、まずはゴール毎にリスク許容度に応じたモデル・ポートフォリオを利用するアプローチが多様される可能性も高い。また、WM企業毎の戦略/他社との差別化方針や、ゴールベース・アドバイス・ソリューションの進化もサービス内容に影響を与えると思われる。 一方、FAが提供するアドバイスの内容に関しては、投資アドバイス以外の相続対策や税務対策などを強化すべきだとする考え方もある。ウェルス・マネジメント企業のサービス内容の進化に関し引き続き注目しておきたい。
Susumu Suzuki
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