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利用が広まるBNPLとクレカ/銀行ローンの関連:データ連携が必須に

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米国ではBNPL(後払い決済)利用が急拡大していますが、支払いが滞るケースも増加傾向を見せています。これに対して、金融機関は、ローン債権との関連から懸念をいだき始めており、金融当局も消費者保護の観点から注目しています。アイテ・ノバリカ・グループでは、新たな段階に入ったBNPLの状況をレポート「BNPL and Credit Risk: Ignorance Will Cost You」にまとめました。ここではその概要をご紹介します。

■ 米国のBNPL利用状況
米国ではBNPL利用が急拡大している。アイテ・ノバリカ・グループが2021年6月に実施した米国消費者アンケートでは、過去1年間にBNPLを利用したことがあると回答した人は47%、うち37%がBNPLが無ければ買い物をしなかったとし、36%がBNPLを利用するようになってから支出が増えたとしている。加えて、BNPL以外のローンの有無を尋ねたところ、BNPLとクレジットカードや各種ローン等を併用しているとの回答が、BNPLだけを利用している人の2倍となった。

一方、BNPL各社は、事業拡大に伴い支払いが滞るケースが増加傾向にあるとしている。このため、クレジットカード/自動車ローン/住宅ローンなど提供している金融機関は、BNPLの普及が自社債権の劣化につながる可能性があるとして、BNPLに関する情報公開を求め始めた。金融当局も消費者保護の観点からBNPLに関する注目を高めている。

■ クレジット・ビューローの動き
米国では、金融機関がローン申込みを審査する際、クレジット・ビューロー(Equifax、Experian、TransUnionが大手3社)が提供するクレジット・レポート(金融履歴情報やクレジット・スコアなどが含まれる)を基礎データとして利用している。これまでクレジット・レポートにBNPLに関するデータは含まれていなかったが、2021年末以降、BNPLに対応するサービスが相次いで発表された。各社のアプローチは以下のとおり(それぞれ独自の工夫が見られる):
・エクイファックス:クレジット・スコアの計算にBNPLデータを取り込む。
・エクスペリアン:BNPLに関連するデータを別サービスとして提供する。
・トランスユニオン:クレジット・レポートにPOSソリューションと称する新項目を設け、BNPLを含む決済データを提供する。

■ 今後の注目点
BNPLに関しては、今後、以下の観点から注目しておきたい:
・金融機関:どのような方法でBNPLに関する情報を信用審査/自社ローン債権のリスク管理に反映するのか。
・BNPLベンダー:金融業界/レギュレーターの動きにどう対応するのか(しないのか)。
・クレジット・ビューロー:情報提供方式の標準化が望まれるが、今後どのような対応を進めるのか。
・金融当局:消費者保護を進めるため、どのような制度を設けるのか。

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Steven Suzuki is the Head of Asian Operations at Aite-Novarica Group, focusing on business development in Asia. Steven brings to Aite-Novarica Group over 20 years of experience in the Japanese financial services and information technology industries through Datos Insights's acquisition of Solution Services Inc. Steven founded Solution Services in New York in 2005. Based on a deep understanding of U.S. and Japanese financial industries, business practices,…

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