米国には、4大メガバンクから地方銀行、信用金庫、デジタルバンクまで総計9000行の金融機関が存在します。Datos Insightでは、どのような消費者がどの種の金融機関をメインバンクとし、またどのような機能を求めているのか、消費者2500人に対するアンケート調査を実施、その結果をレポート「Redefining the Primary Financial Relationship」にまとめました。ここでは興味深い結果をいくつかご紹介します。
■ 消費者がメインバンクを選ぶ理由
米国では、消費者1世帯平均金融機関3.9社との取引がある。内訳は普通口座(Checking口座)=1.7口座、クレジットカード=1.7枚、P2Pペイメント=1.3社、貯蓄口座=1.0口座などであるが、本人が「メインバンク」と認識している金融機関の選択基準の第一位は「便利なところに支店/ATMがあること:53%(複数回答可)」だった(メインバンクの定義は回答者に任せたが、ほぼ全員が「給与振込みと自動振替/自動引落しを設定している金融機関」と認識)。どの年齢層でも選択基準第一位の理由は同じだったが、70歳以上のシニア世代では67%と非常に高いのに対して、Z世代(30歳以下)では40%だった。
一方、どのような種類の金融機関をメインバンクにしているかでは、四大メガバンク(38%)、地方銀行(26%)、コミュニティバンク(13%)、信用金庫(13%)、オンライン銀行(6%)だった。こちらは世代差は少ないが、世帯年収での違いが顕著で、年収15万ドル以上のセグメントでは四大メガバンク利用が53%に対し、3万5000ドル以下の顧客層ではオンライン銀行が15%となった。オンライン銀行のほとんどが、残高に係わらず口座維持手数料を課金しないためだと思われる。
■ 今後はデジタル・ツールが重要になる?
デジタル・ツール(モバイル・ウォレット、P2P支払い、クレジット・スコア管理など)に関しては、消費者1人当たり4.7種類のツールを利用している。ところがその半数以上がメインバンク以外の金融機関やフィンテック企業などのツールとなっている。更にZ世代/ミレニアル世代の60%が、メインバンクに対して各種DIYツールを充実させてほしいと希望しており、この割合はシニア世代やX世代よりもはるかに高い。ここでいうDIYツールとは前述に加えて、家計簿ツールやクレジット・スコア向上アドバイス、節約指南・積立促進、投資アドバイス・ツールなどを指している
■ メインバンクの地位を確立するには・・・次世代顧客は、しばしば支店に行くわけではないが、支店が近隣にあることをメインバンク選択の理由として「Webサイトやモバイル・アプリで分からなかったことを店頭で質問して解決できること」を挙げている。支店の担当者がこの期待に沿うためには、自社のデジタル・サービスに関するトレーニングが十分に行われている必要がある(コールセンターも同様)。デジタル+人的サービスの組み合わせによるカスタマー・エクスペリエンス向上策が必要だ、とも言えるだろう。
また、メインバンクが提供するデジタル・ツールを5種類以上利用している顧客の93%が、ほぼ全資産をそのメインバンクに預けていることも分かった。逆に言えば、金融機関は使いやすいデジタル・ツールを充実させることで顧客を囲い込み、長期にわたるリレーションを構築できる可能性が高まると思われるがどうだろう。