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December 26, 2024
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米公立小中高校にみる生成AI活用ポリシーの作り方
ChatGPT登場直後は、全面禁止を打ち出した米国の公立学校でしたが、発表から2年を経た現在、22の州政府が「学校教育におけるAI/生成Ai活用ガイドライン」を交付、生成AIの利活用を後押ししています。ここでは、これまでの経緯とガイドラインの概要をまとめました。 ■ チャットGPT登場から今日までの動き2022年11月末にリリースされたChatGPTは、5日間でユーザー100万人を獲得、翌2023年1月にはユーザー1億人突破と利用が急拡大した。生成AIの出現により、各企業や学術界、政治などあらゆる分野でその影響や利用方法に関して様々な論議が生じたが、小中高校教育でも同様であった。ここでは発表時から現在までの動きを3つの期間に分けてまとめてみた(米国の新学年は9月スタートなので、それを区切りとしています)。 ・第一期(2022年11月から2023年8月まで)・・利用禁止+厳密な管理下での試用ChatGPTの登場に際し、学校教育界では「作文等の宿題をChatGPTで代替する生徒が続出するのではないか」という懸念が出され、例えばニューヨーク市の学校区(注)は、翌年1月6日には早くも「公立学校でのChatGPT全面禁止」を発表、多数の学校区が同様の方針を打ち出した。ただ、同時に先生方のコントロール下での試みも推進され、「レポートの原稿作成」「化学実験のアシスタント」「ソフトウエアコード作成」など、教育成果のありそうな分野が認識されるようになった。また、先生方自身の活用に関しても「宿題/研究課題のドラフト作成」「宿題の内容を生徒の進捗に合わせてパーソナライズする」などの分野で有効事例が報告された。 #注:学校区とは、市町村毎にある公立小中高校の上部組織で、傘下の公立学校の教育方針や学校施設、教職員の採用などに関して個別の権限がある(その結果、米国の公立校での教育は、市町村毎にバラエティに富んでいる)。 ・第二期(2023年9月から2024年8月まで)・・トライアルの継続と州政府ガイドライン策定2023年9月の新学期になると極端な警戒論は少なくなり「全面禁止」も解除された。より現実的な活用方策が多数試行され、成功事例の情報交換も活発化した(州政府主催のイベントなど)。これらの蓄積を踏まえ、2024年4月頃からは、翌新学期を睨らんで州政府による学校区向けの「AI/生成AI活用に関するガイドライン」発行が活発化した(現時点で22州がガイドラインを公表している)。 ・第三期(2024年9月以降)・・ガイドラインに基づく利活用推進2024年の新学期からは、州政府のガイドラインを参照したり、学校区独自の判断による生成AI活用が更に増加しているようだ。 ■ 州政府発行のAI/生成AI活用ガイドライン:内容事例州政府のガイドラインはそれぞれ独自色があり、ページ数も2ページ(ハワイ州)から81ページ(オハイオ州)まで様々である。ここでは生成AIに特化したアリゾナ州のガイドラインをご紹介する(全文はwww.azk12.ai からダウンロード可能)。 アリゾナ州のガイドライン「Generative AI in K-12 Eduication」は、同州内の学校区が小中高校での生成AI活用方針策定のベースラインとなるようまとめられており、教育関係者全員が読むべき冊子と位置付けられている。章立ては以下のとおり。・生成AIに対する理解/リテラシー向上の必要性(先生自身と生徒の双方)・生成AI活用に対する考え方と活用分野(先生編/生徒編/学校区業務編)・生成AIが持つリスクの理解・導入の進め方(学校区内/学校毎の組織体制/運営方法の例示と、定期的な見直しの必要性など) 全般を通じ「生徒に『生成AIの効果的な活用方法を自ら考える力をつけさせること』が先生の役割だ」とする立場が貫かれている。また、ガイドライン自身もフィードバックを得ながら随時改訂する姿勢が示されている。 ■  ビジネス界での応用アメリカの公共部門や公教育においては、透明性確保の観点から意思決定の過程がかなり公開されており、生成AI活用方針策定もここにご紹介したとおりの手順を踏んでいる。企業内でも同様のステップがとられるはずだが、その過程が公開されることはまずない。アリゾナ州など州政府のせいせいAIガイドラインは、企業にとっても参照できる内容だと思うがどうだろう。
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December 21, 2024
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オレオレ詐欺送金防止策:AIを活用した自動検知ソリューション
オレオレ詐欺など特殊詐欺による不正送金は、これまで自己責任と考えられてきましたが、欧米の金融当局では金融機関に補償義務を負わせるレギュレーションの検討を始めている様子です。このような動きを背景に、詐欺による送金を検知し水際で阻止する金融機関向けソリューションが登場しています。 ■ APP不正の急増とレギュレーションの検討金融機関の不正対策(クレジット・カードの不正利用や、不正入手したパスワードによる不正送金など)が強化されてきたことから、犯罪者は、金融口座を所有する本人を騙して送金させる金融詐欺へと犯罪のパターンをシフトしている。日本では「オレオレ詐欺」が代名詞となっているが、欧米の場合、SNSを使った「ロマンス詐欺」や「架空請求書詐欺 – Invoice Scam」「孫の保釈金詐欺 – “Your grandson is in jail, send money now” Scam」など様々なパターンがある。 騙された本人が自分の意思で犯人に送金してしまう行為は、APP(Approved Push Payment)と呼ばれる。「オレオレ詐欺」は2000年頃より登場したが、欧米では2010年頃からイギリスでAPP不正が増加し、アメリカでも2020年頃より問題視され始めた。これらの時期は、欧米でリアルタイム送金が普及し始めたタイミングとも重なっている(日本で銀行間の全銀システムが稼働したのは1970年代だが、英国では2008年に銀行間のリアルタイム送金が可能となった。米国は更に遅く2017年)。 このような詐欺による不正送金は、これまで消費者の自己責任と考えられ、金融機関は顧客に注意を喚起する啓蒙活動(顧客教育)に力をいれてきたが、欧米の金融当局は「リアルタイム送金を使ったAPP不正による損失に対しても、金融機関が返金義務を負う」レギュレーションの検討を始めている。このような動きを受け、欧米の金融機関は啓蒙活動に加えてシステム・ソリューション導入の検討も始めている。...
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November 24, 2024
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マスターカードが導入したAIによる不正検知システムの仕組み
マスターカードでは、本年2月、AIを活用した不正検知システムの導入を発表しましたが、その後のメディア・インタビューなどでは、不正検知のアルゴリズムや、AIプロジェクトに対する経営判断ステップ等にも言及しています。その概要をまとめてみました。 ■ AIで不正検知を向上2024年2月、マスターカードでは、AIを活用した不正検知システム:Decision Intelligence Pro(DI Pro)の導入を発表した。不正検知を平均20%改善し(場合によっては4倍)、フォルス・ポジティブ(正規の取引を不正と誤認するケース)も85%減少させながら、50ミリ秒内の認証が可能になるというものだ。 不正検知のアルゴリズムに関しては、このプレスリリースでは「自社開発の回帰型ニューラル・ネットワーク」に、年間1000億回を超えるカード取引データや取引履歴を使った機械学習を行い、該当カードが該当マーチャントで買い物をする可能性を算出すると説明していた。 ■ Decision Intelligence Pro(DI Pro)の仕組みその後の報道では、DI Proの詳細への言及がある。そこでは、Mastercardが保有しているデータの分析に加え、Third-partyの協力を得てダークウェブにある漏洩データ売買サイトにアクセス、売買されている不正漏洩データの内容(多くは16ケタのカード番号の一部(下4ケタだけ等))を入手し、漏洩した可能性が高い16ケタの番号をAIを使って想定/復元する。 不正の発生率が高いECサイトは統計的に把握できているので、これらのマーチャントから漏洩した可能性のあるカード番号の承認リクエストがきた場合(ヒートマップのようなグラフィック・ソリューションを使って判断するという)、不正の可能性が高いと判断するアルゴリズムを作成し、検知精度を高めつつ応答時間短縮を実現したと説明している。 ■ AIを活用するかどうかの経営判断原則マスターカードでは、AIの様々な可能性を探るため、多数のPoCを行っているが、そこで有望だと思われた案件に対する経営判断のステップも興味深い。まず第一段階として、法務部門/プライバシー保護部門/営業部門を含む「AIレビュー委員会」が開催される。そこでは、AI活用のメリットと法的リスクやバイアスが発生する可能性を論議し、プロジェクトを進めるかどうかが判断される。 第一関門での承認後、第二段階として「テクニック・レビュー」が実施される。ここでは、効率化の効果(ROI)やスケーラビリティがチェックされるが、スケーラビリティが見通せない場合は、プロジェクトはその場で中止される。スケーラビリティの確認が有望なアイディアを失敗させない秘訣だという。テクニカル・レビューに合格した案件は、既に経営判断がなされているので、即座に開発に着手する。 同社では、DI Pro以外にもAIを活用した様々なプロジェクトを推進中だとしている。AI先進企業としてのMastercardに引き続き注目しておきたい。
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