2024 年、資本市場では、新たな課題や旧来の課題の再燃が多数あることは間違いないが、試行錯誤の中、自ら解決する必要がある。マーケット・ストラクチャーからテクノロジー活用まで大きな変革が予想され、それらに関する意思決定には戦略的かつ長期的な視点が必要になる。ただ、短期間に財務面/テクノロジー/ビジネスにまたがる様々な課題に対する方向性を打ち出すことは「言うは易く行うは難し」である。
トップ10トレンド
- テクノロジーの地殻変動がキャピタル・マーケッツ全体を揺るがす
- クラウド・コンピューティングがもたらす新たなシステム・インフラ/各種ツール/AI/アプリケーションの組み合わせが、業界をまたがるディスラプションにつながる可能性が高い。
- 様々なリスクの組み合わせに要注意
- サイバーリスクと財務リスクが優先課題と認識されているが、市場リスク/オペレーショナル・リスク/レピュテーション・リスクとの相互連関性にも注意する必要がある。
- 市場参加者は、資金調達のパラダイム・シフトを受け入れる必要がある
- 金利上昇とそれに伴う資金調達コストの増加は、レンディングや担保管理に対する新たなアプローチを必要としている。
- 債券電子取引におけるマーケット・メーキングの存在が増大
- 米国債券市場では、流動性供給に関するディーラーの役割が後退し、替わって高速マーケット・メーカーがその空白を埋めている。
- T+1 移行では、不測の事態に備える必要がある
- 決済サイクルの変更による混乱が生じる可能性が高く、落ち着くまでにはかなりの時間が必要になると思われる。
- 手作業によるポスト・トレード処理は限界に達している
- 本年度、手作業によるポスト・トレード処理は限界にすると想定されるが、テクノロジー活用への移行が間に合うかどうかはこころもとない。
- AI 活用に関する取組みはまったなし
- 資本市場企業各社は、ガバナンス最優先ではあるものの AI 活用を加速する必要がある。
- データ・マネジメントでは、非構造化データへの注目が高まる
- 資本市場参加者は、AI活用を強化しながらデータ・マネジメントを新たな段階へと進める必要がある。
- 当局報告再考
- 規制当局への報告義務は必要悪と考えられていたが、報告内容が増加するにつれシステム化/標準化が進んだ結果、リスク管理基盤と認められつつある。
- プライベート・マーケットの成長と課題
- リスクが高く必ずしも透明性ではない市場への関心をどのように維持するか知恵を絞る必要がある。
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About the Author
William Trout
William Trout serves as Director of the Securities and Investments practice at Datos Insights, focusing on technology strategy and innovation in the capital markets. He has particular expertise in platform automation; data capture, storage and analytics; and portfolio management and optimization. Within the wealth and asset management arena, his interests include investment advisory and wholesaling and distribution services, as well...