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ChatGPT:ビジネスでの活用はどうあるべきか

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2022年11月のリリース以来、世界中の注目が集まるChatGPT(Generative Pre-trained Transformer)ですが、登録ユーザーは2か月で1億人を突破、現在では毎日5000万回のアクセスがあると推計されています。一方、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)をどうビジネスに応用するのかの検討もはじまっており、ここでは現時点での論議をまとめてみました。

■ 大きな関心と大きな懸念
ChatGPTは、最新鋭の自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)技術であり、最も進んだ対話型インターフェースを提供していることから、その技術力に大きな称賛が寄せられている。一方、その完成度の高さゆえ、人間がだまされてしまう懸念や悪用が心配されている。

「ChatGPTが出す回答が不自然だ」或いは「不正確だ」との意見もあるが、そもそも人間の回答だと思わせることや、100%の正解をめざしたものではないはずだ。Googleなどの検索エンジンと同様、人間の活動を補完し効率化するツールだと考えたい。

■ ChatGPTの限界と有償版への期待
現在リリースされている無償版ChatGPTをビジネスへ応用しようとした場合、情報の出所が表示されず、どのように回答を導き出したのかの説明もないため、常に説明責任を問われるビジネスでは応用範囲が限定されてしまう。また、現バージョンは、2021年末までのデータを基に構築されており、最新情報は反映されていない。今後発表が予想される有償版では、これらの課題が解消されるのかどうか、またどのような価格体系となるのかが注目される。

■ レギュレーション
ChatGPTのリリースを背景に、G7などでも個人情報保護や潜在的なリスクを最小化するレギュレーションの論議が進んでいるが、ここではビジネスでの活用促進の視点からレギュレーションを考えてみたい。

前項と関連するが、企業が人口知能の活用を検討する際、説明責任が伴う用途が多い。そのため、情報の出所など透明性の確保をレギュレーションが後押しすれば、ビジネスでの応用範囲が急速に拡大すると思われるがどうだろう。

また、ハッカーによるChatGPTの悪用(フィッシング・メールの作成や不正ソフトウエアのコーディングなど)が懸念されるが、この分野はレギュレーションが意味を持たない領域でもある。むしろ人工知能を使った対応策が必要となる可能性が高い。

■ 現時点で企業が取り組むべきこと
現在利用できるChatGPTは、前述のような限界もあり人間の判断を助ける業務への活用が適切だろう。情報収集への応用や選択肢/確率が提示できれば生産性向上への寄与が期待できる。またチャットボットやプロトタイプの作成など、100%の正確性は求めないがレベルアップが求められる適用領域もある。

中長期的な視点では、企業はChatGPTを含めた人工知能の活用方策を常時検討することが必須であり、これは人工知能を使ったビジネス・プロセスの見直し/デジタル・トランスフォーメーションでもある。これがどのような形態になるとしても、(1)人間とテクノロジーをどう分担させるのかの判断と(2)データの活用、は避けて通れない要素と思われる。まずはChatGPTを使ってみて知恵を出すことが第一歩だと考えるがどうだろう。

(参照)
2023年3月発行レポート「ChatGPT in the insurance World: Chat of Things to Come