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個人投資家のオルタナティブ投資

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昨今、日本政府の資産運用立国を目指す方針表明や、新NISAの導入などにより投資に対する関心が高まる中、オルタナティブ投資への注目も集まっています。米国でも、富裕層やマス・アフルーエント層では、ポートフォリオにもオルタナティブ資産を組み込む動きが始まっています。Datos Insightsでは、北米(米国/カナダ)のウェルスマネジメント企業80社に対して実施したオルタナティブ投資に関するアンケート調査を実施、その結果をレポート:North American Wealth Managers Adoption of Personalization at Scale: Alternative Assets にまとめています。


■ オルタナティブ資産と品ぞろえ
オルタナティブ資産は、株式や債券などとはリスク・リターンの特性が異なるため長期分散投資に必要な要素と考えられ、以前から年金基金や大学の基金運用などのポートフォリオに組み込まれていた。これが次第に超富裕層にも浸透し、昨今では富裕層/マス・アフルーエント顧客からも注目されるようになってきた。

オルタナティブ投資という言葉からは未上場株を思い浮かべる方も多いかもしれないが、今回の調査では、それに加えて不動産投資/インフラ投資/私募債/コモディティ/エネルギー/貴金属/デジタル・アセット/ヘッジ・ファンドの取組みも調査した。

米国のワイヤハウスやカナダの五大銀行をはじめとする大手ウェルス・マネジメント企業では、これらすべての投資商品を取り扱っているが、オンライン証券や小規模なウェルス・マネジメント企業では、未上場株/不動産投資/インフラ投資/私募債は取り扱っていても、コモディティ/エネルギー/貴金属の取り扱いは限定され、デジタル・アセットとヘッジ・ファンドは更に少なかった。


■ 個人顧客におけるオルタナティブ商品の組入れ割合と今後の動向
現時点では、オルタナティブ投資を行っている顧客は超富裕層やファミリー・オフィスに限られており、顧客数の視点からはごくわずかである。更に、それらオルタナティブ投資を行っている顧客においても、ポートフォリオに対する組み入れ割合は10%以下が70-80%を占め、組み入れ割合が10%を超える顧客は20%未満との回答がほとんどだった。ただ3年後の想定としては、ポートフォリオにおけるオルタナティブ投資の割合が10%以上となる顧客の割合が40%を超えるのではないかとする回答が多かった。


■ オルタナティブ投資の大衆化
富裕層やマス・アフルーエント顧客においてもオルタナティブ投資への関心が高まっているが、ウェルス・マネジメント企業にとっては、商品説明や運用報告書の提供など、他の金融商品と同様なサービスを効率的に提供するためのインフラ整備(組織/業務/システム)が必要となる。ソリューションは自社開発も選択肢であるが、WM企業向けにサービス・プラットフォームを提供するTAMP(Ternkey Asset Management Program)ソリューション各社は、オルタナティブ資産対応を強化しており、オルタナティブ投資専用のプラットフォーム(CAIS/iCapital/Haloなど)も登場している。

オルタナティブ投資は、投資家の関心の高まりに加え、ウェルス・マネジメント企業への収益貢献が期待できる商品でもある。今後取組みがどのように広まるか、その動向に注目しておきたい。