米国務省(外務省に相当)がOpenAIと提携、生成AIを利用したチャットボットによる文書検索システムを導入して外交業務の効率化を推進している話題です。
■ 国務省でのAI活用
2023年10月、米国務省ではAIを活用して外交活動を強化するとの方針のもと、エンタープライズAIストラテジー(EAIS)を発表しAI活用の方針を打ち出した、EAISでは、大使館など海外公館を含むほとんどの部署がAI利用の対象だとし、セキュリティを確保したテクノロジー・インフラの構築、情報源の明示(透明性確保)、データに基づく意思決定を定着させるためのカルチャーの醸造などを謳った。
そのフラッグシップ・プロジェクトとして、生成AIを利用したチャットボットによる文書検索システムの開発が開始され、2024年10月時点でアルファリリースとして各部門での利用が始まっている。現時点で270の外交業務でAIチャットボットが利用され、グローバルの職員8万人のうち1万人が利用しているという。
■ AIチャットボット導入プロジェクトの概要
国務省では、数年前から省内で利用する文書/データを整備するためのプラットフォーム構築プロジェクトが始まり、2年前からは部門毎にデータ整備専任スタッフを設ける取組みが行われていた。対象となる文書/データは、過去の外交文書や意思決定の要となる国会での論議/決議/報告書などに加えて、メディア情報など外部データも取り込んでいる。
AIチャットボット・プロジェクトのシステム構築/推進にあたり、国務省内では、CIOを中心にサイバーセキュリティ責任者(CISO)、外交テクノロジー責任者(暗号通信などを司ると思われる)、更に昨今任命されたChief Data &AI Officerが密接な連携体制を敷いている(週次のミーティング等)。外部ベンダーとしては、マイクロソフトがクラウド環境AzureとOpenAIを提供し、Palantirがユーザー・インターフェースを、デロイトがChatbotのデザインを担当している。生成AIの検索機能や要約機能に加え(他言語情報に対して)翻訳機能も活用されている。外交活動は、内外との対話が行動の中心であるが、AIチャットボットを活用することで、その準備段階で必須な文書を読む/理解する/書くの部分を効率化することで、対話に割く時間を増やすことが可能になるとしている。
■ プロジェクトは現在進行形
現在AIチャットボットは一部の現場にリリースされており(アルファリリースと表現されている)、ソフトウエアやセキュリティの評価とともに、現場からのフィードバックを得ながらチューニングを繰り返しているという。中長期的には、情報を根拠に外交活動を進めるカルチャーを醸造する必要があると認識されており、そのためのトレーニングも並行して実施していくという。
ブリンケン国務長官も巻き込んだ国務省が全力投球するAI活用プロジェクトだが、その成果に注目しておきたい。