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Datos Insights experts weigh in on critical topics and trends in their industry verticals.

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September 23, 2023
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モルガン・スタンレー:GPT4ベースの社内向けチャットボット、リリースへ
米国の大手証券会社モルガン・スタンレーがフィナンシャル・アドバイザーを支援するチャットボット「AI@Morgan Staney Assistant」をリリースする話題です。 ■ 「AI@Morgan Staney Assistant」概要モルガン・スタンレーが社内向けに導入するチャットボットは、フィナンシャル・アドバイザー(FA)が、市場の最新状況や商品内容、社内手続き等を顧客に説明する際に参照できるツールで、いわば社内の専門家(エコノミストやストラテジスト、ファンド・マネージャー、業務エクスパートなど)の助言をいつでも受けられるデジタル体制を目指している。 背後には、OpenAI社が提供する大規模言語モデル:GPT4が使われている。GPT4にモルガン・スタンレーが保有するリサーチ・レポートや商品説明資料、社内手続きに関する書類などのノウハウをインプットすることで、FAの質問に応じて市況を解説したり口座開設の手続きを説明するなど、FAがそのまま使える具体的な回答が提示される。回答には出典(社内のどの資料や文書を参照したか)も付加される。 ■ プロジェクトは2022年夏にスタートChatGPTに注目が集まったのは2022年12月以降だったが、モルガン・スタンレーは、2022年夏にOpenAI社との共同プロジェクトを開始、2023年3月にはGPT4を用いたプロジェクトが進行中であることを公表していた。...
Susumu Suzuki
September 10, 2023
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サイバー・インシデントに4日以内の開示義務:上場企業に対するSECの新規則
米国証券取引委員会(SEC)が、上場企業でサイバー・インシデントが生じた際、その事実を4日以内に開示する義務があるとする新ルールを制定した話題です。2023年3月にルール案が公表されパブリックコメント期間が設けられていましたが、7月に最終案が発表され、8月末より施行となっています。 ■ サイバー・インシデント開示規制の概要 米国証券取引委員会(SEC)は、上場企業に対して「サイバーセキュリティに関する重大なインシデント(Material Cybersecurity Incidents)」が発生した場合、4日以内の公表義務があるとする新ルールを制定した。同時に、年次報告(10-K)においては、サイバーセキュリティに関するリスク管理体制/ガバナンス/戦略を記載する義務を追加している。新規則を設けた背景として、SECでは、サイバー・インシデントに対する透明性を高めることで、投資家保護/金融市場保護を推進する必要があるからだとしている。 これまでも、例えば大手金融機関でサイバー・インシデントがあった場合、金融当局とサイバーセキュリティ&インフラストラクチャー・セキュリティ庁(CISA)への報告義務があったが、今回のSEC規則のような「情報開示義務」ではなかった。 ■ 反対意見もある 証券業界の業界団体であるSIFMA(証券業金融市場協会)では、3月にSECからこの情報開示義務案が発表されて以降、「4日以内の情報開示では不十分な内容を発表することになりかねず、かえって市場の混乱を招く」との立場をとり、「報告よりも、インシデントの封じ込め/復旧作業/原因追及などが優先するべきだ」との立場を表明してきたが、規則制定には大きな影響を与えなかったと思われる。...
Susumu Suzuki
August 29, 2023
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耐量子暗号の標準化進展と金融業界での導入論議
昨今の国家間の対立を背景に、米国政府内では、暗号化技術を量子コンピュータでも解読が困難な耐量子暗号(PQC)へレベルアップする論議が始まりましたが、2024年に技術標準が制定されることを背景に、金融機関での導入論議も始まっています。 ■ 暗号解読の懸念と耐量子暗号の導入 公開鍵を用いる暗号化技術(RSA暗号)は、1990年代に普及が始まり、現在まで破られることなく有効な技術として広く利用されている。量子コンピュータが普及すれば公開鍵による暗号化アルゴリズムが短時間(24時間以内)に解読される可能性もあると考えられているが、それはまだ10-20年先だろうとの見方が多い。 ただ、ここ数年、国家間の対立が強まり、他国の政府関連機関から連邦政府各省庁や国防関連組織、諜報機関などに対するサイバー攻撃が増加していることから、米国政府は危機感を強めており、連邦政府機関が利用しているRSA暗号を耐量子暗号(Post-Quantum Cryptography:PQC)に置き換える方針を打ち出し始めた。 ■ 米国政府の動き 技術面の動きでは、NIST(国立標準技術研究所)が2016年から進めていたPQC技術の評価結果を2022年7月に発表した(日経新聞等でも報道された:4種の技術を推奨)。更に2023年8月には、PQCの技術標準を定めるべくそのドラフト版を公表した(今回は、2022年に推奨した4種のうち3種(CRYSTALS-Kyber, CRYSTALS-Dilithium, SPHINCS+)が対象で、FALCONは来年度ドラフト版公表予定としている)。11月22日までのパブリック・コメントを踏まえ、その後、正式な技術標準として発表される予定だ。...
Susumu Suzuki
August 14, 2023
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ゲンスラーSEC委員長のAIに関する3つの懸念
米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が表明したAIに対する懸念が日本でも報道されていますが、これはChatGPTへの注目が高まったからではなく、同氏のSEC委員長就任前からの認識があるように思われます。これらを解説してみました。 ■ ゲンスラー氏の人工知能に関する論文 第33代米証券取引委員会(SEC)委員長のゲリー・ゲンスラー氏は2021年4月に委員長に就任したが、同氏は、その前年の2020年にMITのスローンスクールから論文「Deep Learning and Financial Stability」を発表している。ここでは、ディープ・ラーニングが証券市場に効率化やリスク軽減など多数のメリットをもたらす可能性がある一方、技術が成熟化し広くAIが導入された段階では、金融システムの脆弱性につながる可能性があるとの見方を示している。 懸念の背景にあるのは、ディープラーニングやAI技術全般が全米で2-3種類しかない基礎技術の上に構築されているため、それを投資判断に用いると多数の投資家の行動が似通ってしまい、結果ボラティリティが高くなったり、市場が一挙に同じ方向へ動き、最悪の場合、金融危機につながる可能性があるという認識だ。 ■...
Susumu Suzuki
July 31, 2023
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自動音声応答による請求書支払い:Allstate保険の場合
Allstate保険の請求書をコールセンターの自動音声応答で支払った経験談です、エージェントと違って待たされることはなく、また認識レベルが格段に向上してスムーズなやりとりが可能だったことから、音声応答がカスタマー・エクスペリエンス向上に貢献する時代に入ったと感じました。日本語の音声認識技術をご存じな方がいらっしゃれば、最新状況をぜひご教示ください。 (注)米国では、銀行口座からの自動引落しはあまり使われておらず(普及率が低い背景は不明だが、自動引落しに対する信頼感が高くないのではないかと思われる)、ベンダー企業側も自動引落しを提供していないケースが多々あります(請求書送付の上、小切手郵送かカード払いのみ)。 ■ 背景日本滞在中にAllstate保険から住宅火災保険の請求がEメールで来た。代金を支払うべくWebサイトにアクセスしたが、なぜかログインができない。エラーメッセージが「ID/パスワードが違います」ではなく「フリーダイアルに電話をかけてください」なので、海外からのログインを制限しているのだろうと思い、SkypeOutでアメリカのコールセンターに電話をかけた。 昨今、米国のコールセンターでは、第一段階として顧客に用件を口頭で話してもらうケースが多い。簡単な内容ならば自動音声で回答し、それ以外は用件に応じた担当エージェントへ転送する。「xxの方は1番を、yyの方は2番を・・」など、メニュー方式による切り分けは次第に減少している。 ■ 自動音声応答だけで、支払が完了Allstateのフリーダイアルでのやり取りは、以下の流れだった(英語のやり取りを日本語で説明したものです)。 Allstate(以下A):ご用件を簡単にご説明ください(自動音声)Suzuki(以下S):請求書を支払いたい(声での回答) A:では請求書を探します。お名前は?S:SUSUMU SUZUKI...
Susumu Suzuki